ナボコフ短編全集」1読了。「ある日没の細部」はビアスのあれを連想させ、さらに醜悪な結末を見せるのが「名誉の問題」だ。「偶然」「ラ・ヴェネチアーナ」「おとぎ話」といったプロットの動きのある作品もいいし、「ドランゴン」「悪い日」なども意外でよい。「博物館への訪問」「未踏の地」など創作の工夫が見えるもの、そして「ベルリン案内」にある創作態度も読み応えた。「偶然」「剃刀」「博物館への訪問」「再開」など亡命者の姿が見えるもの、他亡命者社会をどうしても反映してしまうものが興味を引くのはナボコフの意図に反するか。そしてやっぱり印象に残ったのは「クリスマス」「オーレリアン」。